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1996年11月第2号 文:阿部
●なぜ解決を先送りするか
子宮の病気が他の臓器の病気と決定的に違う点のひとつに、患者サイドの受け止め方があります。子宮筋腫や子宮内膜症に悩む患者で、病名を告げられるやいなや手術を受けることを即決する人はまずいません。
「しばらく様子を見ましょう」という医師の言葉があれば、患者はそれを自分に都合のよいように解釈して、「まだ大丈夫なのだ」と問題を先送りしてしまうのです。
医師サイドの真意はというと「いずれ手術することになるだろうが、患者が納得して手術を受け入れるまで様子を見ましょう」ということなのです。
臓器に異常があることを知りながら問題を先送りしてしまう背景には、子宮が羞恥心の関係する臓器であること、自分以外の誰にも言いたくない病気であること、また他人には負けたくないという心理や心情もあるでしょう。そのことが誰にも相談できぬまま、「自然によくなるのでは…」というかすかな期待に向かわせるのだと思います。
しかし、自然によくなることはありません。解決は2つ、病変のある子宮を取ってしまうか、取らずに治す方法を探すか。あなたはどちらを選択しますか。

●未来に開かれた手術
現在、未婚の女性やこれから妊娠・出産を希望している女性には子宮を残すよう努力するものの、時間の経過とともに症状が重くなってしまった多くの患者に対して行われる手術は、全摘手術を意味しています。重症の子宮筋腫や子宮内膜症の治療法は全摘手術、というのが婦人科医療のマニュアルになっているからです。
たしかに病変のある子宮を切除することによって、痛みや出血、貧血といった症状を解消することはできます。それは過去を清算する手術と言っていいでしょう。しかし、辛い過去が清算できた反面、ホルモンのアンバランスによる体調不調や子宮喪失がもたらす精神的な空疎感など、新たな悩みを抱える患者が多いのも事実です。
子宮全摘手術が引き金となって合併症が起きたり、欝病になる確率が高いというデータも出ています。これでは未来に開かれた手術にはなりません。
広尾メディカルクリニックが手がける子宮保存手術は、子宮の病変部だけを取り、子宮の機能を最大限残す手術です。婦人科医療が子宮全摘をマニュアルとするなかで、手術に伴うリスクが大きく、それだけに高い技術が要求される子宮保存手術を手がける者はきわめて少数派ですが、やってやれない手術ではないのです。
1千例を越す手術例と、その中の75人に術後、赤ちゃんが生まれたという事実がそれを証明しています。未来に開かれた手術とはこういうものであろうと思います。
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