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1997年3月第5号 文:阿部
●貧血の大部分は鉄欠乏性貧血
患者さんの多くは、月経過多、下腹痛などとともに貧血の症状を訴えます。そこで、貧血とはどのようなものなのかについて少し詳しくお話しましょう。
貧血とは赤血球が減少している状態をいいますが、その原因としては多くのことが考えられます。まず、その成因を速やかに究明し、確定することが大事です。
貧血が起きる主な原因には、(1)骨髄における赤血球系細胞の産生低下、(2)末梢血、組織における赤血球の破壊が高進(溶血など)、(3)血行中からの失血、出血、などがありますが、日常多く見られる貧血の大部分は鉄欠乏性貧血で、圧倒的に女性に多いのが特徴です。貧血がある場合、中年女性ではまず子宮筋腫、腺筋症(子宮内膜症)を疑い、男性では癌性貧血を疑うといわれるほどです。
貧血の症状は、次のようないろいろなかたちで現れます。
(1)心循環器と呼吸器の所見…労作時に多い動悸と息切れ
(2)皮膚粘膜の所見…皮膚の蒼白
(3)神経筋の所見…頭痛、めまい、耳鳴り、失神、暗点、集中力欠如、傾眠、脱力感、疲労感など
(4)消化器の所見…食欲不振、下痢、便秘
(5)生殖、泌尿器の所見…軽度の蛋白尿、無月経、性欲減退
(6)代謝の所見…基礎代謝が高進する
(7)発熱…微熱
特に女性の子宮出血で最も多い鉄欠乏性貧血の臨床症状としては、(1)貧血による酸素欠乏の症状(動悸と息切れ、めまい)、(2)酵素鉄蛋白の減少による皮膚粘膜の症状(皮膚の蒼白)、の2つがあります。
鉄欠乏性貧血はゆっくり進行することが多いため、人体が貧血に慣らされて自覚症状がとらえにくいという特徴があります。 貧血による酸素欠乏の症状はかなり進行してから自覚することが多いようです。

●貧血はどうして起きるのか
このホームページの「手術前後の対比データ例」では、貧血の度合いを測る血液中の赤血球、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリットの3つの数値を挙げていますが、これらと貧血との関係について触れておきましょう。
赤血球に含まれるヘモグロビンは、肺の毛細血管の中で酸素を受け取り、これを組織に運搬する働きをしています。したがって、慢性的な子宮出血で失血した状態が続くと、赤血球に含まれるヘモグロビンが減少し、その結果、酸素の運搬機能に障害が起こり、人体の組織、臓器は低酸素状態、つまり酸欠をきたすことになります。
そうした状態が慢性化、長期化すると人体の組織や臓器は機能障害を起こし、上記のようないろいろな器官で症状が現れるのです。これは健康とはほど遠い状態であり、自覚症状が出た時には貧血はかなり重症であると考えてよいでしょう。
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