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文:阿部
●詳しい医学的な解説(その1)
女性は子宮で物事を考えるなどと、よく言われますが、子宮は子供を産む機能とは別に、女性の一生を左右させる最も大切な臓器のひとつであると考えます。子供ができない、月経過多、下腹痛、月経困難、月経痛、腰痛、不正出血、貧血、めまい、立ちくらみ、などさまざまな訴えをもつ、かなりの患者が、超音波エコーなどの発達で、現在では子宮筋腫と比較的たやすく判断されるようになりました。それほど極めてポピュラーな疾患でありながら、30〜40歳代の女性の20%程が子宮筋腫に罹患していると言われています。
その一方、治療の方は、ここ20年、30年来の医学をみても、婦人科手術の技術は、あまり変化しないのが現実です。新生物子宮筋腫の発生により、細胞が複雑に変化し、子宮周辺組織を巻き込み、血管も怒張して出血をともなうことが多いので、子宮筋腫の子宮保存手術は困難な要因が非常に多いのです。筋腫のこぶ(核)のみを摘出する手術は従来から多く行われていますが、開腹してから核出のみの手術が困難とわかり、子宮全摘を余儀なくされるケースも多く、またその困難さゆえに筋腫核を取りきれずに再発する場合が多いのです。ただ、筋層にくい込んだ大きなものは、卵巣はできるだけ残す努力をししていますが、子宮を取れば子宮癌におびえることもなくなると、多くのひとが子宮全摘されています。また、手術中の出血も多いので、輸血による肝炎も恐れられています。
このような事情から、子宮全摘をめぐる是非は、長年どうどうめぐりを繰り返していて、漢方薬、ホルモン治療などの薬物療法などにも目を向けられてはいるものの、まだまだ医師の簡単な説明で安易に子宮全摘をされている女性が圧倒的に多いという現実があります。
とくに、拳児希望の患者にたいして、最近はホルモン治療や漢方薬の使用が盛んになってきていますが、有効なものもある一方で、とくに副作用の強いものもホルモン剤の特徴なので、服用を中止すると再発する率が高くなります。療法の限界をみると、最終的には子宮全摘を告げられる例が非常に多く、現段階ではかならずしも満足いく治療とは思えません。
さらに子宮摘出は、更年期障害を早め、重症化させる危険性ももっています。相当な血流量をもつ子宮が無くなると、エストロゲン、プロゲステロン等のホルモン消費に大きなアンバランスを生じ、いろいろな障害をつくる原因とも考えられています。
また、今では両側の卵巣を残し、子宮全摘出のみにとどめる手術法が多く行われていますが、卵巣そのものも拮抗作用を失って、卵巣機能の退化を早めるという報告もされています。これを、ある学者は「エンジンをはずされた自動車のようだ」と表現しています。
子宮全摘手術をされた女性のなかには「摘出をして、さっぱりした」といいながら、やはりどこかさびしいエンジンのかからない女性に変身していることも、否めない事実でしょう。
女権主張の強いアメリカでは、120グラムから140g以下の子宮を摘出する場合、理由書を求められることが当然の権利として行われています。
以前、東京都下の産婦人科病院でおきた事件は、まだ記憶に新しいものですが、「私の子宮をかえして」の叫びで世間をさわがせたニュースは、一方で「子宮をのこせなかったのか」と訴えた社会問題だったと思います。
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術前子宮腺筋症 |
術後子宮腺筋症 |
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