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リスクについて
     
 
     
  手術はリスクを伴う

子宮筋腫や子宮腺筋症などの子宮保存手術には、それを困難にする要素が非常に多く、それゆえ手術にはリスクを伴います。 子宮の後方、骨盤腔内の深い部分を埋め尽くして発育が進み、腸、膀胱を圧迫し、更に卵巣腫瘍、内膜症などを合併したもの、再手術の例などは腸、腸間膜、卵巣などの付属器官などと強固な癒着を起こし、骨盤腔内の解剖学的位置関係を異常にしたり、腸管、尿路の走行を変位したり、更には子宮を固定する周囲の重要な動静脈を含む靭帯などが硬化して伸展移動性を悪くします。

子宮保存手術はこのような子宮周囲の難しい条件の中で行います。
特に再手術の場合は、筋腫の再発を防ぐ目的もあり手術操作が骨盤の深い部分に及ぶため、骨盤側壁の静脈や骨盤底の網の目のように層をなした静脈を損傷しやすく、これによる出血が大きなリスクを伴うことになります。

こうしたリスクのなかには術前に予測できないものもあり、ことに大出血を招く骨盤深部の静脈血栓の存在は、術前検査などで確認する方法は確立していなく、子宮筋腫核手術など骨盤内手術に常にはらむ重大な危険因子であり、手術を困難にする大きな要素になっています。

かと言ってこれらの危険因子を背負った施術に伴う合併症例も発生件数は差ほど多いものではなく希有な例です。 患者が子宮保存を望んでいるにもかかわらず患者の意に反してホルモン治療、漢方療法で様子をみたり、子宮全摘を求めるのは、このあたりのリスク回避が根底にあるのではないかと私は思っています。

  

患者のリスクポイント

子宮保存手術に際し、こちらでよく見られる患者さんの全身状態の評価とリスクポイントを挙げてみます。

◇貧血(特に鉄欠乏性貧血)
軽度、中程度の鉄欠乏性貧血では貧血に身体が慣れやすいため、強い症状はなく、疲れやすい、不安感、全身倦怠感、食欲不振、便秘などの身体不良となって表れます。

貧血が進行すると、息切れ、頭痛、めまい、動悸を訴えるようになります。 成人女性では血色素濃度の正常値下限12g/dlを下回ると血中酸素運搬能は低下し、術前貧血の程度に応じて組織の酸素欠乏状態を招き易くなり、貧血の進行を長く放置した挙句手術に臨むことは術後の回復を遅らせたり、術後の感染症の合併症に陥り易くします。

◇ ◇ ◇

◇肥満
脂肪組織が過剰に蓄積した状態であり、糖尿病や狭心症の負荷の増大の合併が容易に予約される肥満な患者も少なくありません。 厚い脂肪壁や、腸、腸間膜内臓の脂質面積が、手術視野や手術の展開を妨害し、手術そのものを困難にします。肥満の人は術中の呼吸管理が難しく、呼吸不全の頻度が高くなります。

血行状態が悪い為、術後感染症、静脈血栓、縫合不全、腸閉塞などを起こしやすくなります。

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◇静脈血栓
筋腫によって子宮が肥大するのに伴って、血流のうっ滞を招き、血管走行の怒張と変化をもたらす。血流の遅延や血液粘度の増加や血液凝固因子の活性化に至り総じて血栓易形成の土壌となり、防御機能の低下をきたします。血管の怒張などは、一時的なものもありますが、深部静脈血栓症、更には肺血栓症に移行することも考えられるため注意が必要です。

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◇呼吸機能の評価
肥満、喫煙、比較的高い年齢に加えて気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫などの閉塞性呼吸障害がある場合は呼吸不全の発生リスクを高くします。

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◇心機能の評価
通常の身体活動で疲労感、動悸、息切れ、労作時の胸部不快感、めまいなどの左心不全症状がある場合は、貧血症状と重なることも多いので、特に中年女性の場合は循環器等の専門医による鑑別診断が大切で、心機能障害の発生リスクを高くします。

 
     
 
     


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